『TikTok 最強のSNSは中国から生まれる』(黄未来 著)をflier(フライヤー)で読んだ。
この本を読むまで「TikTok」は単なる流行りで、人気が出たのは面白い動画コンテンツが集まったから、と思っていた。
もちろん、それもあると思う。
けれど、TikTokの一番すごいところは「レコメンド機能」だそうだ。
TikTokはとんでもない技術の会社でもある、ということである。
ちなみに「バイトダンス」という社名だ。
そういえば、TikTokというすごく有名なサービスなのに、運営会社を調べたことがなかったことに気づいたw
「レコメンド」が優れているということは、ユーザーがいちいち検索をしなくてもよい、ということだ。
今の時代、「検索」が当たり前になっているけど、その検索の手間すら省き、最適なコンテンツをどんどん提供してくれるのだから、そのサービスは強いはずだ。
TikTokの理念は強い
分かりやすい理念があると強い。
TikTokのレコメンドのシステムは、「クリエイターのフォロワー数によらず、優良なコンテンツを評価し、適切なユーザーに届ける」という理念で設計されている。
TikTokは、フォロワー数の多いクリエイターを優遇するのではなく、1つ1つのコンテンツをきちんと評価している。
そのため、新しいクリエイターであっても、優良なコンテンツさえ作ることができれば、短期間で人気者になれる可能性がある。
そうなると、新しいクリエイターがどんどん参入してくれる。
新しい動画コンテンツも増え、そのファンも増え…という好循環サイクルになる。
TikTokの戦略、リフトアップはシェアをとりにいくなら効果的
「リフトアップ」という戦略があるらしい。
若い層で流行すればビジネスとして注目が集まるようになり、上の世代も取り込める。これをリフトアップと呼ぶ。
まずは、拡散力のある若い層を徹底的に取り込む。そのあとで、上の世代も取り込んでいくという戦略だ。
TikTokはまさにこれを狙っていた。
私の中でTikTokのイメージは、「若い層向けの素人おもしろ動画」であったが、最近では「ためになる」「リアル」といったコンテンツも増えている。
「ためになる」のコンテンツが入ってくると、「短い動画 × 精度の高いレコメンド」を持ったTikTokは、上の世代にとっても、一気に使い勝手の良いサービスになってくる。
動画は受け身の状態でもある程度情報を取得できるし、テキストに比べて圧倒的に情報量が多いというメリットがある。
しかし、これまでの動画コンテンツは長尺が多かったため、見たい部分が再生されるまで待つ必要があったし、ある程度再生してみないと欲しい情報が含まれているかどうかも分からない。
短くて分かりやすい動画コンテンツを、精度の高いレコメンドで「はい、どうぞ」と差し出されたら、虜になってしまうだろう。
実際に中国では若い層に限らず、あらゆる年代のユーザーがTikTokを当たり前のように使っている。
国より年代、異なる価値観
この本には、もう一つ面白い観点が書かれてあった。
近年、SNSを始めとするインターネットサービスを成功させるうえでは、まずある国の「若者」をターゲットにし、それを足掛かりに世界の「若者」に向けて発信するのがセオリーになっている。国別の「ローカライゼーション」から、世代別の「カテゴライゼーション」へと主軸が変わりつつあるのだ。
インターネットが世界で普及したことで、全世界で同じサービスが使われるようになった。
国を超えて人間の価値観は似てきている。
価値観が異なるのは「国」ではなく「年代」である。
そのため、サービスを展開するときに「国」を意識するよりも「年代」を意識する方が重要になってきているのかもしれない。
短いのが人気のヒミツ
動画も文章も、短いものが流行ってきているような気がする。
動画はTikTokが流行り、小説はショートショート、ビジネス書はflier(フライヤー)が人気だ。
要は、みんな時間を無駄にとられたくないのだと思う。